香山リカ『結婚がこわい』読みました

公開日:  最終更新日:2014/07/23

何度か書いているけれど、私には結婚願望がほとんどない。
もしかして、「結婚がこわい」んだろうか?
そう思って読んでみた。

結婚がこわい
結婚がこわい ¥1,365

いやいや、けっこうあなどれない。
自分が恋人にモヤモヤと要求してしまうものはなんなのか、
どうして結婚願望がないのか。
そういうことが、少しわかった気がする。

第二章 既婚者の憂鬱で、『もの想い』という言葉が出てくる。
『もの想い』とは「話さなくても誰かが私の気持ちをわかってくれるはず」
という欲求で、人は誰でも赤ん坊時代の母親との関係で
それが満たされることを体験しているのだという。

お腹が空いた、おしめが塗れた、眠い・・・
そういった欲求・不快感を、母親は先回りして解決してくれる。

『もの想い』を求めて結婚してしまった妻が、自分でも何を求めているのか
わからないまま夫に不満を持つという例があげられている。

これを読んで思い出したのは『ノルウェイの森』の一節。
主人公(男)がのちに惹かれていく女友達、緑が空想を語るシーン。

————————————————–
緑が主人公にショートケーキが食べたいと告げ、それを買ってきてもらう。
けれどケーキが目の前に差し出されたら、「食べたくなくなった」と放り出す。

そして、相手に「君がケーキを食べたくなくなることくらい
推察するべきだった。おわびに何か別のものを買いに行ってきてあげる。
何がいい?チョコレート・ムース、それともチーズ・ケーキ?」と言って欲しい。
————————————————–
[略しました]

まったく、なんて一方的で勝手な空想!
けれども、私の中にも確実にこういう気持ちがある。
これがまさに『もの想い』っていうやつなんですね。

もちろん私は『もの想い』が叶えられないことくらい知っている。
それなのに、心のどこかで欲求してしまっているってことなんだろうな。

あと興味深かったのは、既婚者のデータ。

「もう一度、結婚するとすれば?」という問いに
「今の配偶者と」と答えている夫が若年世代で約60%、
中高年世代で約70%なのに対して、妻は両方とも約40%。
「結婚しない」と答えている妻は約20%。

「孤独感を感じるのはどんなときか?」という問いに
「配偶者といるとき」と答えている夫は約10%、妻は約30%。

昔、離婚の理由を聞かれて「二人でいてもさみしいなあと思えて」って
答えた人がいたけれど、30%の確率でそんな想いを抱えるのだったら、
結婚のリスクは高すぎるのではないだろうか。

というわけで、「よし結婚しよう!」と思えるわけではなく、
むしろ効果としては逆なので、おすすめするのもどうかと思われますが(笑)

自分はそもそも結婚したいと思っているのか?
結婚したくないっていうのは間違った考えなのか?と考えたことがある人は、
男女問わず読んでみるといいと思います。

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